先週は新人議員10人で、
昨日は副議長をはじめとする公明党議員団5名の方々をお招きして、
船で港区の水辺視察をお手伝いしました。
僕が多くの議員の方々に船に乗って頂き、案内しているのは、皆様に正しい知識と情報を持って欲しいからです。
現在、港区は10mの津波を想定値とし、区の公共施設の津波対策を検討しています。
これに対し、共産党などからはハザードマップを作れと、意見が出ています。
10mと聞けば当然の要求でしょう。
しかし、もし10mの津波が来れば、東京はどうなるのか。
津波は港区を飲み込み、渋谷あたりまで壊滅することでしょう。
行政が言うのですから、信じる人も出てくると思います。
先日、区の防災担当者と話しました。
過大な想定は、混乱を招くから、やめるべきだと。
想定値を設定するなら、科学的根拠のある
過去最大の津波の高さを想定値とするべきだと。
議会答弁のような公式の場ではありませんが、防災担当者から驚くべき発言が出ました。
「榎本先生、50mの津波が来るという学者もいるんですよ」
そりゃ、世の中には隕石が降ってくることを想定するべきだと唱える学者もいるでしょう。
しかし、行政の人間がそのような考えを持つことに正直、怒りを覚えました。
非現実的な想定は、実効性のある防災計画を根底から否定することにつながります。
非現実的な想定は、地域全体の資産価値を否定することにつながります。
僕は第2回定例議会において、港区の津波の想定値は「
2m」にするべきだと主張しました。
私の尊敬する東京海洋大学の松山学長も、東京大学副学長の磯部先生も、僕が議会で一般質問した内容と同じようなことをおっしゃっておられます。
津波における想定値は、過去最大値を基準として想定値を考えるべきだ。
津波は、沿岸の地理的構造で増幅されることも、減衰されることもある。
地域差が大きいのだから、地域にあった防災対策を考えるべきだと。
1923年の関東大震災(M7.9)のとき、熱海は12mの津波に襲われ、湘南から房総半島まで巨大な津波で大きな被害が出たそうです。
しかし、この津波が東京に到達したとき、その高さは1mでした。
歴史上、関東で発生した最大の地震は1703年の元禄関東大地震(M8.1)と言われていますが、このとき発生した津波が過去最大とされています。
この時、房総半島の形状が変わるほどの大地震で発生した津波は、品川に到達したとき2mであったと記録にあります。
品川で2m
東京沿岸に到達した津波の過去最大値を想定値とするならば2mとなります。
先日の講演で東京大学の磯部副学長が次のような事をおっしゃっていました。
「たとえ、震源地が東京湾の中であっても、水深の浅い東京湾では
流体力学的に大津波は発生しない。
来るのは津波といっても
単なる潮位変動に過ぎない。
その潮位変動は歴史上過去最大の規模が2mであり、東京の住民が今回のような大津波を心配する必要はない」
東京港は5.1mから6.3mの水門や防潮堤に囲まれていて、お台場も道路はすべて海抜5m以上の高さで作られています。
一人でも多くの人に、3月11日以降すでに補強された防潮堤や水門を見て頂き、私たちの街が安全であることを実感していただきたい。
これが、僕の今行っている事です。
風評に惑わされず、
妄想的な想定値に踊らされることのないよう、
私たち自身が正しい知識を身につけることが大切です!
想定外という言葉を巧みに使い、公共施設の建設予算を増額しようと画策することは、沿岸域のマンションなどの価格暴落を招きかねません。
津波被害を恐れた外国人や経済人の海外流出は、大幅な税収減を招きかねず、住民サービスの低下に繋がる可能性があります。
風評に惑わされず、正しい知識を持つ事が、今とても大切なことです。
たとえ、2000年経っても、東京湾の地形が変わらない限り、東京沿岸に巨大津波はやって来ません。
安心してください。
<参考資料>日本経済新聞
http://www.nikkei.com/life/culture/article/g=96958A90889DE0E5E4E2E5EBE1E2E0EAE2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=